ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル2000
“イブ~4つの恋”

第1話(2000年12月24日 ON AIR)

「サンタクロースの恋」
作/四夜原茂

出演/ 男1 吉浦彰彦(シアター・クーデター)
  男2 腹筋善之介
  平野舞
 
  スナックかバーの扉をバーンと開けて誰かが入ってくる。
男1 メリークリスマスー!!
男1 あれ? メリークリスマスー、エブリバディ。
あ、びっくりした、松(まっ)ちゃん?
男1 サンタさんです。
  どうしたの松ちゃん、そのかっこう。
男1 仕事でーす。寒いなぁ。お湯割ね。
いつもの焼酎でいい?
男1 はーい。
今日ね、ワインとかシャンパンもあるけど?
男1 冷えてる?
キンキンに。
男1 凍死しちゃうよ。お湯割りにしまーす。
はーい。でもそのかっこうで焼酎じゃ、何か変よね。(お湯をそそぐ)
男1 そう?
ウォッカとかジンとかの方がクリスマスらしいんじゃないの?はい、お湯割り、ウメボシダブルね。(グラスを置く)
男1 なに言ってるの梅ちゃん。サンタさんはね、どこの国にも出没できるんだよ。ほら。・・・・・あ。ヒゲが。
ヒゲがグラスの中に入ってるわよ。はい、おしぼり。
男1 ありがとう。このヒゲね。顔の半分が白いヒゲ、もう半分は、赤い帽子。体じゅう赤と白のコントラスト。ね。よく考えてあるじゃないの。
えー、じゃあ、あれなわけ?サンタのかっこうしてプレゼントを持ってたら、それ、みんな本物のサンタクロースなわけ?
男1 そうだよ。
松ちゃんも?
男1 そう。今日はサンタさんなんです。
はい。
男1 え?なに?
プレゼントくれるんじゃないの?
男1 ここで?
そのでっかい白い袋に入ってんでしょ。
男1 ダメダメ。こんな所じゃダメ。くつしたもないし。
しゃ、脱いじゃう。ストッキングでもいい?
男1 ・・・・・・・・・・・・・・・・。
どうなの?
男1 ちょっと今、考えちゃってね。ぬぎたての生ストッキングにプレゼントを入れるのって、どんな感じなんだろなって・・・・・。
ちょっとお、なにそれ、サンタさんってそんなこと考えてるわけ?
男1 考えて・・・ません。サンタさんはそんなことは決して・・・考えてません。で、ストッキング何色?
網目の黒。
男1 黒の網タイツか・・・・・・・・。
ほらほら、何か考えてる。
男1 う。やっぱり考えてる。いかんいかん。アルコールが足りないのかも知れない。
  飲む。
サンタが焼酎飲んで妄想をふりはらおうとしてる。何かつまみ出そうか?小イモの煮たやつとかあるけど。
男1 いいね。ちょうだい。
はいはい。サンタさん。もう顔、顔赤くなってるわよ。
男1 それも計算のうち。サンタさんは赤ら顔。トナカイもほら赤いんだよ鼻は。
はい、小イモ、山盛りー。
男1 おお、いいねー。いただきまーす。
  扉がバーンと開いて、男2が入ってくる。
またサンタさんである。
男2 いいかな、はじめてなんだけど。
もちろんですとも、あはは・・・。今日はサンタさんのお客様が多い日だわ。あはは・・・。
男2 やあ!
男1 や、やあ(口に小イモが入ってる)
男2 休憩かい?
男1 う、うん。(小イモが入ってる)
男2 彼が飲んでる飲み物はなに?
焼酎です。
男2 蒸留酒のようだな。オレもそのチェリーの入ったカクテルをもらおう。
はい。お湯割りにウメボシ入れたやつですね。
男2 ウメボシ?あ、ああ、それをもらおう。
はーい。
男2 長いの?この仕事。
男1 あ、ああ。もう5年くらいやってるかな。
男2 まだ5年なのか。それじゃまだ楽しいだろう?
男1 そうでもないよ。仕事だし。あんたは?
男2 二百年くらいだ。そろそろ転職を考えた方がいいかも知れん。
プフフ、アハハハ・・・。二百年?アハハハ・・・。
男2 なに?
いえ、あの、えーと、あの、ずいぶん長いんですねぇ。
男2 いやあ、たいした事はない。オレの部隊には五百年ってやつもいるよ。
男1 五百年・・・
男2 すごいだろ?インカ帝国の財宝はみんなオレのプレゼントだって言ってるよ。
男1 そんなバカな。
男2 本当にな。ウソつくにしてももう少し気のきいたウソがつけないのかね。サンタは子供にしかプレゼントできないのに。
じゃあ、私なんかだともらえないわけ?
男2 もらえない。たとえばオレがあんたに何かプレゼントするとするだろ?どんな感じ?
もちろんうれしいわ。
男2 それだけ?
男1 それだけ?
な、なによ。他に何があるの?
男2 何か感じないか?男だよ。サンタだって。男が女にプレゼントするんだよ。何かあると思うじゃないか。
思うかなそんな事。
男1 あー、サンタは男じゃないと思ってるんだ。
だってサンタクロースを男だなんて思ったことないもん。
男1 ひどい・・・。
男2 落ち込むんじゃないサンタ君。OK?よくあることなんだ。
男1 だって・・・。
男2 考えても見給え、サンタは夜中に君の寝室にしのび込むんだぞ。そして、あられもない寝姿の君を見ながら、脱ぎ捨てられたストッキングにプレゼントを入れる。そのまま立ち去ろうと思うんだが、君の無防備な姿を見ているうちに、つい・・・。
変質者じゃないの、それじゃあ。
男1 もうひとつプレゼントをストッキングに入れたくなる。このプレゼントは最初に入れたものとは意味がちがうわけだ。
どういうこと?
男2 最初のは、この一年がんばろうと思ってお勉強とか、お手伝いとかした君へのご褒美。次のは、見返りを求める男のメッセージだ。
何がちがうの?その2つのプレゼント。
男1 だから意味がちがう。
中身は?
男2 中身は同じ。ぬいぐるみとか、バービー人形とか。
なんだ、中身はいっしょかあ・・・。なんだぁ・・・。
男1 梅ちゃんて、現実的なんだなぁ。
でもちょっと考えちゃうわね。みんなひとつずつしかプレゼントもらってないのに。
どうして私だけ2つなんだろって・・・。
男2 そう。「ひょっとしてサンタさん私に特別な感情をいだいてるのかしら?」とか考える。大人だから。?
そうね。
男2 だからサンタは大人にプレゼントしない。ややこしい事が起こりそうだから。
うーん。少しわかった気がする。
男2 おっと、時間だ。もう、子供達は眠りについた頃だな。3丁目から5丁目までがオレの担当だから、そろそろ行かないと終わらないぞ。
なんか新聞屋さんみたいね。
男2 悲しくなるような事、言わないでくれ。実は、キューピーに転職しようと思ってはいるんだ。
男1 キューピー?
男2 言っとくがマヨネーズじゃないぞ。No、No、OK?じゃ、失礼する。(扉まで行き)メリー・クリスマス!!
扉を開けて男2、去る。
ふふふ。おもしろかった。誰なんだろうあの人。
男1 あ、お金もらわなかった。
あ、いいの、いいの。サンタさんなんだから。
男1 それはラッキーだ。・・・え、あれ?この袋・・・?あ。あいつ、まちがえて持って帰ったんだ。
えー?!ちょっと、サンタさーん。サンタさーん!
  女、扉を開けるが、もう誰も居ない。後ろからクリスマスの音が流れ込む。
男1 居ない?
居ないわ。
男1 これ・・・・。
なに?
男1 梅ちゃんへのプレゼントじゃないかな?
え?私に?
男1 カードが入ってる。キューピーの。「これは内気なサンタクロースから君へのプレゼントである。実は去年の12月から彼の部屋にあったものだが・・・・え?!」
「もちろん、ややこしい事を起こすためのものである。見るに見かねて、私、サンタクロースが君にとどけることにした。世話やかすんじゃない。いそがしんだぞ、オレは」
男1 内気なサンタクロース
誰かしら、内気なサンタクロースって。
男1 誰って・・・・・。


終わり
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