ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル2009
“あると思います?!物語”

第4話(2009年12月23日 ON AIR)
ミチカとミチル

作 /ごまのはえ

キャスト 腹筋善之介
  武夫 永井悠造(隕石少年トースター)
  平野舞
  ミチカ 田嶋杏子(デス電所)
  ミチル 石田剛太(ヨーロッパ企画)
 

 

シーン1「居間では」

   
 

武夫くんと父がいる。

   

こらこら武ちゃんは未成年だろ。

武夫

でもさっきのチョコにもウィスキーはいってましたよ。

あーゆうのはどうなんだろ?

武夫

ミチルも顔真っ赤になってましたもん。

あいつは弱いからな。

武夫

ほんとおじさんそっくりですね。

ジュースにしなさい。

武夫

はい。

   
 

ジュースを注ぐ音。

   

では、今年もサンタ大成功を祝って。

武夫

はい。

かんぱーい!

   
 

二つのグラスが静かに「カチン」

   

いやー。武ちゃんのおかけだよ。

武夫

おじさんの情熱ですよ。

   
 

居間のドアが開く。
母が入ってくる。

   

あらまだいたの?

武夫

はい。

手伝ってもらったんだよ。ミチカの。

飲ましちゃだめよ高校生なんだから、

わかってる。

少しは心配したらどうなんです?

何?

ミチカ。電話もないんですよ。

どうせ駅前だろ。

まだ高校生なんだから、

   
 

居間の電話がなる。

   

俺はもう飲んでるからな。

   
 

母は電話にでる。

   

はい。…で、どこ?駅前?わかった。

   
 

母は電話を切る。

   

な、

武ちゃん。

武夫

はい。

どうなの?

武夫

え?

ミチルとミチカ。

武夫

元気ですよ。二人とも友達多いし。

心配ないよ。

おかしいでしょミチル。

何が?

高校生にもなってサンタクロース信じてるなんて。

いいじゃないか、

ミチルは男の子ですよ。

早く、ミチカ、迎えに行けよ。

武夫

ミチカちゃん、クラスでカラオケじゃないかな、駅前の。

どうしてミチルは行かないのよ。

武夫

ミチルはカラオケとか苦手だし。

クリスマスは家族と過ごすものだろ。ミチカのほうがよっぽどおかしいよ。

…、もっとミチカを心配したらどうなんです。

大丈夫だよ、

女の子ですよ、ミチカは。

父・武夫

(笑う)

   
 

母は居間のドアを閉める。

   
武夫

あ、いってらっしゃい。

   
   
 

シーン2「車内で」

   
 

ここは駅前。小ぶりな繁華街。
通りはクリスマス一色。

   

(車の窓をあけ)ミチカ!

ミチカ

サンキュー。

   
 

ミチカをのせて車は動き出す。
ミチカは女の子だが、男のような口ぶり。

   

飲んでないでしょうね。

ミチカ

飲んでねーよ。

スカートは?

ミチカ

うるさいなー。だって寒いんだもん。

お父さんがね、クリスマスくらい家にいろって。

ミチカ

は?バカじゃねーの。

心配してるのよ。

ミチカ

気持悪。

今年もお父さんプレゼント渡してた。

ミチカ

うわー。

ミチル。本当に信じてるのかな。

ミチカ

信じてるっていうか、そういう性格だから、

は?

ミチカ

サンタクロースを信じてるっていう性格だから、あいつは。

…お父さんが悪いのよ。全部。ミチルをあんな風に育てたから、

ミチカ

ミチルは失敗作なの?

失敗なんていわないで。でもミチルは男の子なのよ。

ミチカ

俺だって女の子だよ。

だから、それもお父さんが悪いのよ。

ミチカ

ゲ。

何?

ミチカ

飲んでる?

武夫くんが来てるわよ。

ミチカ

は????

お父さんのサンタクロース手伝うって。

ミチカ

うわー。

   
 

母は思いつめた表情で乱暴に車を止める。

   
ミチカ

どうしたの?

あの子、何?

ミチカ

…。

あの子、ミチルの何なの?

ミチカ

聞きたい?

…。

   
 

母は深いため息をつくと、再び車を発進させる。

   

そのジャージのズボン、やめてよね、恥ずかしくないの?

ミチカ

サンタクロースにお願いすればいいんだ。

は?

ミチカ

ミチルとミチカ、二人を逆にしてください。

…。

ミチカ

そう思ってるんだろ?

   
   
 

シーン3「再び居間では」

   
武夫

お父さん!それは偏見です!

お前にお父さんと呼ばれる筋合いはないわ!

   
 

父は武夫に殴りかかる。
しかし武夫はラグビー部。
父はすぐに手首をひねられて、

父「アイタタタタ」

   
武夫

すいません。

(押し殺した声で)出ていけ!

武夫

僕の話を聞いてください。

うるさい!

武夫

気づいてるでしょ、お父さんだって、

警察を呼ぶぞ。

武夫

ほっとけないんです。僕、

…。

武夫

ミチルはほんとは女の子なんです。

なに言ってるんだ君は。

武夫

お父さん。ミチルは、

だから君にお父さんと呼ばれる筋合いはない!

   
 

父は武夫に殴りかかる。
しかしすぐに手首をひねられ

父「アイタタタタ」

   
武夫

すいません。

出てゆけ!

武夫

僕、高校をでたらすぐに働くつもりです。もちろん今すぐにとはいいません。でも、いずれまた、改めてご挨拶させてもらいます。

なに言ってるんだ君は、

武夫

お父さん。

お父さんはやめろ。

武夫

間違ってますよ。お父さんだって思うでしょ?

…。

武夫

逆ですよ。ミチカとミチル。

…。今日はもう、帰りなさい。

武夫

…お邪魔しました。

   
 

武夫は居間のドアを開け、去ってゆく。
しばらくして玄関の扉が開いて閉まる音。
父は苛立ち、ラジオをつける。
石川さゆり♪「天城越え」
しだいに父は口づさむ。
居間のドアがあいてミチル登場。

   
ミチル

何してるの?

   
 

父はラジオを切る。ミチルは男の子だけど、女の子みたいな口調。

   
ミチル

ミチカは?

いまママが迎えにいってる。

ミチル

もう一時だよ。

なぁ。

ミチル

パパもね。

え?

ミチル

うるさい。

ごめん。

   
 

ミチルは窓際により、

   

雪降らなかったな。

ミチル

これ渡してくれない?

   
 

ミチルは父に手紙を渡す。

   

え?

ミチル

今年はサンタさんに手紙かいたんだけど。枕のよこに置いといたんだけださ。気づかなかったみたい。

…。あのな、ミチル、

ミチル

パパから渡してよ。

サンタクロースなんていないんだ。

ミチル

プレゼント、全部パパが買って渡してたんだ。

ミチル

(居間のドアを開け)手紙渡してよ。

おい。

ミチル

じゃ親父がサンタクロースなんじゃないの?

   
 

ミチルは居間から出てゆく。

   
   
 

シーン4 ミチルとミチカの部屋

   
 

真っ暗の闇の中。ミチルとミチカが仰向けになり、真っ暗な天上を見つめている。

   
ミチカ

オレンジ
水色
群青
赤紫
深緑
灰色
クリーム色
小豆色
ピンク
山吹色



ショッキングピンク
ターコイズブルー
サマルカンドブルー

ミチル

水族館行きたい。

ミチカ

エイ
マンタ
ペンギン
サメ
イルカ
シャチ
海亀
かわうそ

ミチル

遊園地

ミチカ

観覧車
コーヒーカップ
メリーゴーランド
ジェットコースター

ミチル

手紙を書いた。

ミチカ

誰に?

ミチル

サンタ。は、いないからパパに渡した。

ミチカ

なんて書いたの?

ミチル

願い事。だから内緒。

   
 

沈黙

   
ミチカ

スカート。返せよ。

ミチル

明日ね。

ミチカ

今すぐ返せ。

ミチル

どうしたの?

ミチカ

…。俺は今のままでいいから、ずっと俺のままでいたいから、

ミチル

は?

ミチカ

なにお願いしたの?

ミチル

…。

ミチカ

別に願いがかなうとか思ってないけど、ミチルも自分のこと間違ってるって思ってるなら、俺、

ミチル

違うよ。

ミチカ

…。

ミチル

私たちは間違ってない。

   
   
 

シーン5 「再々居間では」

   
 

父と母。

   

(手紙を読んでいる)
「…ずっとパパがサンタのフリをしてくれるから、言い出しにくくて、でも僕も高校生だし、サンタさんがパパだってこともちゃんと知ってます。憶えてますか?最初のクリスマス。僕らが三歳の時、プレゼントはお人形と電車の玩具で、ミチカはまよわず電車をとって、僕は人形をとりました。あの頃から僕らの今の性格は始まっていて、パパとママの心配も始まりましたね。僕は男の子が好きです。武夫くんじゃなくてクラスの別の人です。その人も僕のことが好きなら嬉しい。パパは応援してくれますか?応援してくれたら、とてもとても嬉しいです。

サンタクロースへ」

   
 

母は手紙を折りたたむ。
父は黙ってグラスを傾ける。

   

さて。

ね。

さてさて。

ね。

どうしよう。

話し合いましょうよ。夜は長いんだから。

   
 

ご両親の話し合いは続く。

   
おわり
   
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