ラヴィーナ STORY FOR TWO
クリスマススペシャル1996
“6つのクリスマス”


第3話

第3話(1996年12月22日 ON AIR)
「ミンス・ミートを入れたクリスマス・ケーキ」
作 / 水こし町子
出演 腹筋善之介
    平野舞

男   去年のイブ
    ぼくはひとりぼっちだった
    商店街のにぎやかな飾り付け
    どの人もみんな幸せそうに見えた
    ぼくだけが世界中で一番
    かわいそうな気がして
    死んだふりをして
    クリスマス・イブやクリスマスの日を
    ないことにしようと思った

女   わたしも
    つまんないクリスマスだった
    クリスマスは
    どうして恋人がいないとだめなの
    一人でしょんぼりしていた

男   でも今年は一人じゃあない

女   クリスマス・ケーキにいれる
    ミンス・ミートがびんの中で
    いい味になっているのよ
    わたしの夢だったの
    好きな人ができたら
    クリスマスのケーキは
    ケーキ屋さんのではなくて
    手作りにしよう
    りんごと
    くるみと
    ほしぶどうと
    夏みかんの皮の砂糖漬け
    それに生姜 シナモン 砂糖
    キャラメルソース お酒をいれて
    毎日一回づづかきまぜたのが
    ミンス・ミートなの
    なまパン粉 小麦粉 卵をまぜて
    蒸し器でむすの
    クリスマスの柄の大きなお皿に
    のせて
    (アナウンサーのように)

男   今日はクリスマスのケーキを
    紹介しました
    思ったより簡単ですから
    ぜひ みなさま
    一度おためしください
    (アナウンサーのように)

女   テーブルには
    お好きな柄の
    テーブルクロス
    今流行のハーブ・ティーをそえ
    いつもとすこし雰囲気をかえて
    楽しい時間をお過ごしください

男   ついでにツリーも飾ろうよ
    靴下ぶらさげて

女   ああ どうしよう
    今夜サンタクロースが
    あなたの家に来ます
    なんて言わないでね

男   子供会のクリスマス・パーティーの時
    ジングル・ベルの音楽に合わせて
    プレゼントの品物を 一つづつ
    となりの子に渡して
    すごく大きな包み
    小さな小さな包み
    中身がわからないから
    大きなのがいいなって
     ドキドキしたりして

女   音楽がパッと止まったとき
    隣の子のプレゼントをみたりして

男   大きな包みからは
    ノートと画用紙でがっかり

女   したんでしょう

男   したした
    パッと渡した隣の子のプレゼントが
    ぼくがずっと欲しかった
    ミニヨンクのおもちゃだった
    それからパーティーの間
    ずっとうらやましくて

女   ミニヨンクってなに?

男   車のおもちゃ
    小さな四輪駆動で
    タイヤやウイングや
    中のモーターまで
    取り替えられるんだ
    いくつも持っていたんだけれど
    その子のもらったミニヨンクは
    ぼくが持ってないのだったんだ

女   楽しいこともいっぱいあったのに
    恥ずかしかったこととか
    くやしかったことのほうが
    昨日のことみたいにね

女   でも、ね。大人になって
    こんな楽しい日が来るんだから
    子供たちに知らせてやりたいね

男   子供の時のクリスマスに
    欲しかったもの
    全部書き出してみようかな

女   あら、まだ言っている
    じゃあミニヨンクでも
    プレゼントしましょうか

女   ミンス・ミートの入った
    クリスマス・ケーキが
    そろそろ出来上がるわ


終了
 
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