ラヴィーナ&メゾン STORY FOR TWO クリスマススペシャル2007
「終わらないクリスマス物語」
第2話(2007年12月23日 ON AIR)
「カーテンの向こう側が気になって仕方がない」

作・山内直哉

 
キャスト 男1 大学生 升田 学(維新派)
  男2 大学生 西田和輝(売込隊ビーム)
  男3 大学生 安田一平(ニットキャップシアター)
  女1 大学生 サリngROCK(突劇金魚)
  女2 運転手 平野 舞
  
 

クリスマスソングに男1の声が被る

  
男1

おい、おい

  
 

男3のイヤホンから流れるクリスマスソング

  
男3

何?

男1

旅行中に一人の世界に入るな

男3

バスの中くらいいいだろ

男1

せっかく4人で来てるんだから。トークしよう、トーク

男3

(音楽止めて)何か、しゃべりにくくない? 他の人、みんな静かだし

男1

電気消えるまでは別にいいだろ

男3

あとさ、車内、寒くない?

男1

別に

  
 

乗車口のステップを駆け上がる足音(男2登場)

  
男2

おい、買ってきた

男1

おお、ありがと

男2

サービスエリアって色んなもん売ってるな

男3

<みきちゃんは?/p>

男2

トイレ

男1

待っといてやれよ

男2

いや、だってトイレだもん

男1

おまえ、アレだろ?

男2

え?

男1

みきちゃんにアレなんだろ?

男2

ああ

男3

みきちゃん、サイン出してるよ

男2

え?

男3

サインを出してるよ

男1

早く言った方がいいんじゃない?

男2

何を?

男3

出た、鈍感力

男1

決まってんじゃん

男2

着いたら言う

男1

いつ言うんだよ

男2

スキー場で言う

男1

何を躊躇してんの?

男2

いや、何かさあ、メールがなかなか返って来ないんだよ。彼氏いるっぽいし

男1

何で分かるんだよ

男2

メールがなかなか返って来ないから

男3

あのさあ、ちょっと寒くない?

男1

うん、サムイ。おまえ、サムイわ!

男3

そうじゃなくて、バスの中、寒くない?

男1

え? そう? まあ、今、ドア開いてるし。あ、みきちゃん帰って来た。走り方、可愛い~(男2に)おまえ、後ろでみきちゃんといちゃいちゃすんなよ

男2

しないよ。おまえも運転手さんに話かけるなよ

男1

話しかけねえよ

男2

ちょっと可愛かったらすぐに

男3

運転手さん、美人だよね

男1

そうなんだよ

男3

柴咲コウに似てる

男1

そうなんだよ。見てるなあ

  
 

乗車口のステップを駆け上がる足音(女1登場)
続いて、ステップを上がる足音(女2登場)

  
男1

みきちゃん、遅い。出発しちゃうよ?

女1

メチャクチャ混んでて

男1

女の子は大変だよね

女1

何、聴いてんの?

男1

こいつ、音楽ばっかりだよ

男3

夜景を見ながら音楽聴く幸せ、分かる?

女1

分かる。一番前の席でよかったね

男3

みきちゃんも、前来る?

男1

おい、俺はどうなるんだよ

女1

私、ココでいい

男1

私、ココ「が」いい(と、男3を笑う)

男3

(悔しい)

  
 

運転席と客席の間のカーテンを閉める音

  
男3

えっ、えっ、あの、すみません

女2

はい?

男3

カーテン、閉めるんですか?

女2

はい

男3

開けといてもらえませんか

女2

この後、車内の電気を消しますので。外の明かりが入らないように

男1

そうだよ。結構眩しいんだよ。高速道路の明かりは。ねえ

女2

ええ、すみません

男1

いえいえ~

  
 

カーテンを閉める音

  
男1

柴咲コウ

女1

ああ、柴咲コウだー。誰かに似てるなと思ってたのよ

男1

あ、思ってた?

男2

声は全然違うけどね

男3

これで電気消えたら、拷問だよ。寒いし

  
 

扉の閉まる音
バスの発車音
車内放送

  
女2

それでは出発致します。このあと、長野に到着まで降りることは出来ません

男3

拷問だ…

女2

お手洗いは車内中央の階段を下りた所にこざいます。このあと、11時になりましたら、車内の電気を消させていただきます。それでは、安全運転で参ります。到着までごゆっくりお休み下さい

男1

消灯するまで何か話そうよ

男2

おまえ、子供みたいに後ろ向くなよ

男1

柴咲さん、可愛いのに声がお疲れさん

男2

クリスマス勤務だもん。ブルーになるって

女1

ねえねえ、さっきね、見たんだけど

男1

何、何?

女1

さっき、サービスエリアで運転手さん、顔こうやってパチパチしてた

男1

それ、どういうこと?

女1

こうやって頬っぺた叩いて、ふぅ(と、気合入れる)って

男2

それって

女1

それって、眠いってことじゃない?

男2

だよね

男1

おいおい、そんなところ、乗客に見せるなよ

女1

何か、不安になるよね

男2

頬を叩かないと寝てしまうみたいな?

女1

それくらい眠いみたいな

男1

おいおい、大丈夫かよ(男3に)おい、聞いた? 柴咲、眠いって

男3

いや、そこはさあ、信頼しようよ。心配しても仕方ないって

男2

でも、ごく稀にニュースでやってるもんね。居眠り運転で衝突とか

女1

そう、だから、ちょっと怖いなと思って

男1

みきちゃん、そんな話したら、眠れないじゃん

女1

ごめん。見ちゃったから

男2

うん、顔パンパン見たら、そりゃ言いたくなるよ

女1

ごめん、おやすみ

男1

ああ、おやすみ…

  
 

車の走る音
缶から飴の出す音

  
男1

おい、おい

男2

何だよ

男1

聞いた?

女1

聞いた

男3

聞いた

男2

何を

男1

飴、食ってる。柴咲、飴食ってる

男2

食ってもいいだろ、別に

男1

いや、そういうことじゃなくて

男3

仕事中に飴食っていいのかって話

男1

そうじゃない。飴を食べるってことは?

男3

口さみしいんだよ

男1

眠気を覚ましてんだよ!

男2

おまえ、声が大きいよ

女1

やっぱり、眠たかったんだ

男2

飴食うくらい、眠いってこと?

男1

そう。ヤバくない? あの音はきっとサクマ式ドロップだよ。コレで、フルーツ味じゃなくてハッカとか食べてたら、もうすぐ衝突だよ

男2

おまえ、大げさなんだよ

男1

いや、命に関わる問題だから

男2

じゃあ、言って来れば?

男1

何て

男2

寝たら死にますよって

男3

寒いしね

男2

それは関係ない

女1

寝たら全員死にますよって

男2

それだね

男1

言ってくる

男3

ダメだよ

男1

え?

男3

声かけたらダメなんだよ

男1

ダメって言われても

男3

いや、ホントに。条例で禁止されてるから

男1

条例?

男3

そこの入り口に書いてあった。以下のことをしたら、罰せられますって

男1

以下のことって?

男3

運転中、みだらに話しかけること

男2

みだりに

男3

あ、そうそう。みだらに

女1

それ、条例やぶったらどうなんの?

男2

罰せられるんでしょ?

女1

罰金ってこと?

男3

だろうね

男1

いや、でも、寝ないでって言うくらいいいだろ

男3

どうだろ

男1

だって、命かかってんだから

男3

声かけたいんでしょ? 可愛いから

男1

いやいやいや

男2

その口実作ってんの?

男1

いや、今、そういう話じゃなくて

女1

声、かけた方がいいと思う

男1

だろ?

男2

でも、条例は?

女1

罰金っていくらくらいなの?

男3

それは書いてなかったけど、例えば、大阪の御堂筋っていう道路は、路上喫煙が禁止されてるんだって。もし、道でタバコ吸ったら1000円取られるらしいよ

男1

それ、全然参考にならないんだけど

女1

1万円くらいかなあ

男1

え、話しかけるの、そんなに悪いこと?

男2

危険だもんね。命かかってるし

女1

じゃあ、10万とかもありえる?

男2

ありえるよね

男1

じゃあ、割り勘な

男2

は? 何で

男1

これはみんなの問題だから

  
 

カーテンの向こう側から女2のくしゃみ

  
男1

柴咲?

  
 

再び女2のくしゃみ

  
男1

柴咲、くしゃみした。ヤバイ!

男2

くしゃみはいいだろ

男1

いや、何言ってんだ、おまえ。くしゃみする時ってどうなる

男2

どうなる?

男1

一瞬、目を瞑るだろ

男2

瞑るか?

女1

ヘックシュン。瞑らない

男1

みきちゃん、それ、ホントにくしゃみしてないから

男2

確かにヤバイけど、だからどうしたらいいんだよ

女1

だから、アレでしょ? もう、噂するのやめよって

男1

みきちゃん、違う

男3

エアコンだよ! だから言ってるじゃないか。やっぱ寒いんだよ

男1

温度上げるように言った方がいいな

男3

いや、その必要はない

男1

は?

男3

柴咲が寒いってことは、車内も暖かくなるってことだよ

男1

ああ、そうか

女1

よかったね

男3

よかったあ

  
 

車の走る音

  
男3

寒いっっ!どういうことだ!

女1

暖かくなってない?

男3

なってない!

男2

そんなすぐにはならないよ

男3

いや、さっきのくしゃみから、これくらいで暖かくならなかったらおかしい

女1

じゃあ、やっぱり噂じゃない?

男3

それはないっ

男2

まあ、クリスマスの夜だもんな。何人の男たちが噂していることか

女1

彼女、可愛いもんね。今夜、彼女の携帯にはメールが殺到している

男2

かもね

女1

でも、彼女は運転中。メールしてもメールが帰って来ない。そして勝手に疑心暗鬼になって終わって行く

男2

うん

女1

見えない相手のことは、勝手に判断しないのが一番だよね

男2

…だよね

女1

…運転手さんのこと、信じよ

男2

うん、そうしよう

  
 

車内の電気が消える

  
女1

あ、電気消えた

男2

もう寝よう

女1

うん、おやすみ

男2

おやすみ

男3

こんなに暗くなるのか…

男1

もう一段階、暗くなるよ

男3

拷問だ…。前も後ろも気になって仕方ない

男1

ああ

  
 

車の走る音
女2の頬を叩く音
女2の「ふぅ」という気合の入れる声

  
男1

はい、集合…

男3

うん

男1

聞いた?

女1

聞いた

男2

やっぱ、言おう

<男1/td>

言おう

  
 

眠れないクリスマスの夜は続く

  
  
  
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