ラヴィーナ&メゾン STORY FOR TWO クリスマススペシャル2007
「終わらないクリスマス物語」
第3話(2007年12月23日 ON AIR)
「ショウタのケーキ」

作・

キャスト 男1 弁当屋 店長 腹筋善之介
  女1 パート店員 なかた茜(トランスパンダ)
  男2 客 ドン・タクヤ(IQ5000)
  少年 竜崎だいち(ミジンコターボ)
  女2 おかん 京 らら(強力集団ララパルーザ)
女1

店長、ホンマにエエの?

男1

はい。もう気にせんと上がってください。

女1

今年のクリスマスも、浮いた話はなんも無しかいな。

男1

なかなか出会いがないんすよ。

女1

ここはもうあんたの店なんやから、クリスマスくらい、早仕舞いして、パーっと飲みに行くとかしたらエエのに。

男1

飲めないの知ってるでしょ。

女1

そしたら、もっと商売っけ出して、他の弁当屋みたいにクリスマス弁当作るとか、パーティーセット作るとか、外国で、なんちゃらいう勉強してたんやろ?技も持ってんねんし。

男1

まあ、そのうち、ね。

女1

こんなん言うのは酷かもしれんけど、あんたまだ四十やろ、ホンマ人生まだまだこれからやねんで。おばちゃんはな、もっかいエエ人見つけて、家庭作って、頑張って欲しいねん。

男1

ほらほら、旦那さんが待ってはりますよ。

女1

あんなもん、ちょっとくらい放っておいてもかめへん。

男1

そんなん言うて、ちょっと今日おしゃれしてますやん。イヤリングして。

女1

どうせ、イヤリングでもイカリングでもうちの旦那は気ぃつかへんねん。

男1

まあ、仲ようやってくださいよ。

女1

あ、話そらされた。

男1

いやいや。

女1

ホンマ、柳に風っちゅうか、

男1

暖簾に腕押しっちゅうか?

女1

こんなん、耳にタコやな。

男1

いえ、お気持ちはありがたいです。

女1

ほな、おばちゃんからのプレゼントやと思っといて。・・・ほな、すんませんお先に。

男1

お疲れ様でした。

女1

良いクリスマスを!!

男1

・・・。

  
 

「クリスマス。町中が飾り立てられ、輝きを増す。町行く者たちは、誰かを想い、誰かに想われる幸せに酔いしれる。僕にはその晴れやかな祭りに参加する資格がない。こうしてクリスマスの夜は、毎年弁当屋で過ごしている。それは苦ではない。むしろ、クリスマスをひっそりとやりすごすには、最適な場所だ。」

  
男2

ハンバーグ弁当おくれ。

男1

はい。

  
 

「ここにいると、誰もが満ち足りたクリスマスを過ごしているわけじゃないって事がよくわかる。単身赴任らしきサラリーマン。にきび面の浪人生。疲れを滲ませた夜の蝶。クリスマスからはみ出し、少しうとましく思う人たち。・・・ねえ、クリスマスなんか、早く終わればいい。そう思いませんか?」

  
男2

え?

男1

いえ。おまたせいたしました、ハンバーグ弁当、480円になります。

男2

ん。

男1

はい、ちょうどいただきます。ありがとうございました。

男2

な。

男1

はい?

男2

そこにうずくまってる子、ここの子か?

男1

え?

男2

そこで、さっきからずっと、ああしてんねんけど。

男1

いや・・・ウチとは関係ないですねぇ。

男2

あそう。ほなな。

男1

え、はい。・・・ま、ほうっておくか。

  
 

冷たい風が吹き抜ける。

  
男1

ってわけにもいかないか。・・・ボク、どないしたん?

少年

あっち行け。

男1

お家の人は?

少年

しらん。

男1

誰か、ここで待ってんの?

少年

待ってへんわい。

男1

じゃ何してんの?

少年

なんもしてへん。

男1

お家はとこ?

少年

もうあっち行って。

男1

あっち、言うても、僕その店で働いてんねんやんか。

少年

・・・。

男1

なあ、寒ないか。

少年

・・・寒い。

男1

じゃあ、取りあえず店の前までおいで。ストーブもあるし。

少年

いらん。

男1

ほら、おいでって。

少年

うっさいなぁ、行けばエエんやろ。

男1

・・・泣いとったんか。

少年

泣いてへん、泣いてへんわい。

男1

ん、わかった泣いてない。寒かったら鼻水たれてただけやな。ここに、座り。あったかいやろ。

少年

ふんっ。

男1

名前、なんていうん。

少年

クリスマスなんか嫌いや。

男1

・・・クリスマスなんて嫌いや君か。

少年

ちゃうわあほ。

男1

ちゃうわあほ君か。

少年

おっさんあほか。

男1

おっさんあほか君か。

少年

エエかげんにせえ。

男1

エエかげんにせえ、どうもありがとうございました君か。

少年

(笑った)

男1

あ、今、笑ったやろ。

少年

笑ってへんわい。

男1

ボクも、クリスマスって好きやない。

少年

そうなん?

男1

うん。

少年

なんで?

男1

せやなぁ・・・サンタクロースとあんまり仲良くないねん。

少年

サンタクロースと知り合いなん?

男1

せや。

少年

作文もほめられてん、算数もよくできましたになってん。

男1

うん。

少年

せやのに、ボクだけケーキ食べられへんねん・・・。

男1

じゃあ、僕がサンタさんに、ちゃんと言うといてあげる。

少年

え。

男1

せやから、なんて名前で、どこに住んでるか教えて。

少年

ウソつき。

男1

なんで。

少年

さっき、サンタさんと仲悪いって言うてたやんか。

男1

仲悪かったけど・・・、今は、仲直りしてんやんか。

少年

マジ?

男1

マジマジ。

女2

ショウター、ショウター、ショウター。居たら返事して、ショウター。

少年

あ・・・。

男1

あれ、お母さんか?

少年

ちゃう。

男1

お母さんやろ。

少年

ちゃうったらちゃう。あんなん鬼ババアや。

女2

ショウタ!!・・・あんたって子は、ほんまに、

男1

叱る前に話し聞いたってくれませんか?

女2

え。

男1

なんで、こんな寒い中、一人で外に出てきたんか、それなりの理由があるんちゃいますか?

女2

あんた何?

男1

ここの弁当屋です。

女2

ショウタが、ご迷惑かけまして、どうもすみませんでした。

男1

迷惑とか、別にかけられてませんし。

女2

帰るよ。

少年

いやじゃボケ。

女2

じゃあ、もう、ここに居り。

少年

え。

女2

・・・もう、いや、あたし疲れた・・・。

男1

疲れたて・・・。

女2

母親かて、疲れるんよ。

男1

そんなん言うてる場合やないでしょ。

女2

必死で仕事終わらせて、走って帰ってみたら、部屋ん中散らかし放題のぐしゃぐしゃで、片付けなさいて叱ったら、昨日せっかく飾りつけしたツリー蹴飛ばして、窓ガラス割って。後始末してたら、勝手に出て行って。そんなんね、わからんでしょ、わからんのに口はさまんといてください。

少年

ツリーは、蹴ってごめん。

女2

謝るんは、ツリーのことだけちゃうやろ。

男1

謝ったんやし、もうエエじゃないですか。

女2

口はさまんといてくださいて言うたでしょ!!

男1

ここ、うちの店なんですけど。

少年

ガラス割ろて思って蹴ったんちゃうもん。

女2

あんな風に蹴ったら、ガラスに当たるんくらいわかるでしょ。

少年

そんなんわからんかったもん。

女2

それくらいわかるようになり。

少年

・・・オカンの方が絶対絶対悪いもん。

女2

あたしのどこが悪いんよ。

少年

・・・。

男1

ケーキ。

女2

ケーキ?

男1

買ってあげなかったんですか?

女2

この子、卵だめなんです。

男1

え。

女2

アレルギーで。

男1

せやったんですか。

少年

エエ子にしてたら、来年は食べられるようになるって言うたくせに。

女2

・・・。

男1

言うたんですか?

女2

もう、売り切れやったんです。・・・そういうの使ってないケーキあるて聞いて、店まで行ったんですけど。

少年

嘘つき、オカンの嘘つき。

女2

ケーキくらいでガタガタ言うな、男のクセに。

少年

僕かて、みんなみたいにケーキ食べたいんや、そんなん全部オカンのせいやんかぁ(泣く)。

女2

私も泣きたいわ。

男1

(携帯を取り出し)もしもし、サンタクロースか?俺や、俺。

少年

へ。

男1

ショウタ君、名字は?

少年

・・・モリ。

男1

モリショウタ君のケーキって、どうなってんの?・・・ああ、そうか。・・・おう、わかったわ。ん、そう伝えとくし。よろしく。頼んだで。

少年

いま、サンタクロースに電話してたん?

男1

サンタは、お母さんからちゃんと注文聞いてるて。

女2

ちょっと、どうする気ですか?

男1

サンタクロースは、ショウタ君が寝てないとプレゼント届けられへんやろ。

少年

うん。

男1

明日の朝、ちゃんとケーキが届いてるはずや。

少年

ほんま?

男1

ほんまや。

少年

・・・ううう。

男1

どないした。

少年

おしっこ・・・もれそう・・・。

男1

奥の突き当たりまで行って、右。

少年

もれるー、もれるー。

男1

ちゃう、そっちは左。よし、そこ。

女2

あの・・・。

男1

ケーキ、明日の朝までに作っておきますから。

女2

でも。

男1

今は親の後継いで弁当屋やってますけど、昔はパティシエ目指してたんです。

女2

パティシエて、お菓子作る人?

男1

卵を使わんと、それらしい感じのもん作れると思うんで。

女2

それはありがたいんですけど。・・・御代は?

男1

僕ね、サンタクロースになりそこねたんです。

女2

え・・・。

男1

自分の夢を追うのに必死で、守るべき時に守ってやれなくて家族失いました。

少年

・・・オカン・・・。

女2

なんや。

少年

ちょっとチビッてもうた・・・。

女2

どんくさ。

少年

だって。

女2

ほら、こっちおいで、オカンの上着貸したるから。

少年

うん。

女2

ありがとうは、言うた?

少年

ありがじゅっぴき!!

男1

ははは。

女2

もう、ほんま、すんません。

男1

いえ。

女1

じゃあ、サンタさんに、明日待ってますって伝えてください。

男1

はい。・・・良いクリスマスを。

少年

バイバーイ。

男1

バイバイ。・・・さてと、頑張りますか・・・。

  
 

男は、厨房でケーキを作り始める。

  
  
  
終わってまた始まる。
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