ラヴィーナ&メゾン STORY FOR TWO クリスマススペシャル2011
「恋の魔法にかけられて」
第1話(2011年12月23日 ON AIR)
「恋心に効くおまじない」

作・ナカタアカネ

キャスト 漫画家 延命聡子
  編集者 腹筋善之介
  平野舞
  魔法少女 蔵本真見(突劇金魚)
  コンビニ王子 ピンク地底人3号 (ピンク地底人)
  
 

鐘の音が辺りに響き渡る。
寒そうな風が吹き付ける中、とぼとぼと女が歩いている。

  
  
 

大きな溜息。

  
魔法少女

大きな溜息ついてどうしたの?

(驚きながら)え?ええっと私?・・・・・・ううん、何でもないの。

魔法少女

なんでもない人が、そんな溜息なんてつかないよ。
私に良かったら、話してみて!きっと力になれるから!

でも・・・・・・・そんないきなり、知らない女の子に・・・・・・。

魔法少女

私にまかせてっ!だって、私ってば、魔法少女だからっ!キラッ☆

(思わず)うわあ・・・・・・面倒くさい。

魔法少女

なんか、言った?

何でもない・・・・・・魔法少女ごっこのつもり?
悪いけど、お姉さんは忙しいの・・・・・・・じゃあね。

魔法少女

待って!

  
 

キラキラした効果音。

  

わっ・・・・・・・目の前にいきなり・・・・・どうして!?

魔法少女

うふふ・・・・・驚いた?・・・・・・これが魔法の力よっ!

本当かなあ・・・・・・何か仕掛けでもあるんじゃない?

魔法少女

まだ、疑ってるの・・・・・・・・・・嫌ねえ、大人って。
でも、私いい子だから・・・・1つぐらいお願い事、きいてあげちゃう。

えっ・・・・・・ホント・・・・・・・・でも、そんないいわよ。

魔法少女

さては、恋の悩みでしょ・・・・・・・片想いとか?

なんで、わかるの!?

魔法少女

だって、魔法少女だからっ!キラッ☆

もういいわよ、その決めポーズ。

魔法少女

お姉さんの好きな人って、どんな人?
乙女心・・・・・勇気を出して打ち明けて!

どんな人って・・・・・・うーん。

魔法少女

どうしたの・・・・・・・?

だって、あんまり・・・・・その人のことよく分からないから。

魔法少女

それって、話したことない人・・・・・通勤電車で見かける人、とか?

話したことあるわよ・・・・・・うん。

魔法少女

えー、どんな人なのー?

(恥ずかしくて口ごもる)コ・・・・・・・・コンビニ・・・・・・。

魔法少女

コンビニの店員さん?

違うわよ・・・・・・コンビニ王子なの!

魔法少女

コンビニ王子・・・・・・・・!?

漫画家

(ナレーション的に)説明しよう。
コンビニ王子とは、彼女が2年前、とんでもない風邪をひいた時にマスク姿で「栄養ドリンク」を買いに行ったときに出会ったのである。

ゴホゴホ・・・・・・・これ下さい。

コンビニ王子

風邪、ですか・・・・・お大事にしてくださいね。

ズキューン!ち、違う熱が出そう・・・・・・・。

漫画家

それ以来、恋の病にかかったのであった。

魔法少女

それだけ?

違うわよ。

漫画家

説明しよう・・・・彼女が正月早々、来店した時であった。

コンビニ王子

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致しますね。

それって・・・・・末永く宜しくってことかしら!?

魔法少女

新年の挨拶、じゃないの?

いや・・・・・・・・でも、まだあるんだから。

漫画家

説明しよう・・・・・・・・・

魔法少女・編集者

あの・・・・・・・もういいです。

女・漫画家

えっ・・・・・・・・?

編集者

もういいです・・・・・・・・。

漫画家

え・・・・・・まだ、あるんだよエピソード。

編集者

そういうのじゃなくって・・・・・・で、結末どうなるんですか?

漫画家

ええっと・・・・・・・・・やっぱり編集者の反応見て考えようかなって。

編集者

(唸る)・・・・・・・・・・・・・・・。

漫画家

ダメ・・・・・・・・かなあ?

編集者

だって・・・・・・・魔法少女とか、コンビニ王子とか、ちょっと。

漫画家

でも「恋の魔法にかけられて」っていうテーマでしょ。

編集者

そうなんですけど・・・・・・・。
テーマとかコンセプトとか含めて・・・・・グッとこないというか。

漫画家

(ごまかし笑いを浮かべながら)あはは・・・・・・・えーっと。

編集者

コンビニ王子は・・・・・ラブコメ、いやギャグ漫画路線でいけるかも。

漫画家

(遮るように)ダメダメ絶対・・・・・・・・ダメ。

編集者

えっ・・・・先生、そういうの思い切り書きたいとかも言ってたでしょ。

漫画家

まあ・・・・・ね。

編集者

じゃあ・・・・・・このお話、どう展開させるつもりなんです?

漫画家

ええっと・・・うーん。

編集者

このままでは・・・・・使えません。

漫画家

・・・・・厳しい。

編集者

まずは・・・・・・・方向性をきっちり決めてくれないと。
次の打ち合わせまで詰めておいて下さいね。

漫画家

・・・・・・・・・・え、もう終わり?

編集者

(照れながら)ちょっと約束が・・・・・・・。

漫画家

クリスマスだもんね・・・・・。

編集者

まあ・・・・・・・先生も、良いクリスマスを。

  
 

編集者、部屋から出て行く。

  
漫画家

ケーキの箱持ってた・・・・・・いいなあ。
恋人と、過ごすんだろうなあ・・・・・・いいな、いいなあ。
(溜息を付いて)・・・・・・・とりあえず・・・・・・続き、描こう。

魔法少女

とにかく、あなたのコンビニ王子への気持ちはよーく分かったわ。
あなたの願いは、コンビニ王子と結ばれることなのね。
その願い、私に任せてっ!
リラメルララメルランルララン、リラメルララメルランルララン!!

  
 

キラキラした音楽と共に魔法の呪文を唱える魔法少女。

  

ちょっと、待って!!

魔法少女・漫画家

えっ!?

そんな魔法の力を使ったら・・・・・ダメよ!

魔法少女

何、言ってるの・・・・・・・!?

漫画家

そうよ・・・・・・・私・・・・・・そんなの描くつもりないのに。
勝手に・・・・・・・・・・・・どうして?

例え、魔法の力であの人に、恋の魔法をかけてもらっても全然嬉しくないもの!

魔法少女

ええっ・・・・・・そんなこと言われても。

そりゃあ・・・・私だって魔法で助けて欲しい・・・・・・・本当は。

魔法少女

だったら、なぜなぜ!?

魔法の力で・・・・私のこと好きになってもらったら・・・・・・。
でも、そんな力を使ってしまったら、今度は、その魔法が解けたらそんなの、ちっとも嬉しくないし・・・・・・好きな人には魔法を使わなくたって・・・・・・私のこと好きになってもらいたいから。
だから・・・・・・・魔法はいらない。

魔法少女

ええ・・・・・それを言っちゃあおしまいじゃない、このお話!

だって・・・・・・・これは私の気持ちって言うより、あなたの気持ちでしょ・・・・・・漫画家さん!

漫画家

え・・・・・・・あたし!?

そう・・・・・・・・私はあなた。あなたは私。
だって、この世界はあなたの世界なんだもの。

漫画家

そうだけど・・・・・・・そんな。

片想いしてるあなたの気持ち、よーく知ってるわ。
だからって、物語の中に逃げたりして欲しくないの。
魔法任せの物語なんて・・・・・・好きな人どころか、誰の心も動かせないって思うから。

漫画家

痛いところを・・・・・・じゃあ・・・・・・私、どうしたらいいの?

魔法少女

ほんとほんと・・・・・・私もどうしていいかわかんないよ。
ヒロインそっちのけになってない!?

ヒロインは私だから。

魔法少女

ごめんなさい・・・・・・でも、私・・・・・登場した意味ないじゃない。
何のための魔法使いなの。

だから、あなたの魔法の力を、ほんの少しだけ貸してくれない?

魔法少女

え?

私達に・・・・・・・・「勇気」が出せる魔法をかけてくれない?

漫画家

・・・・・・・・「勇気」。

そう・・・・・・私達に足りないのは「勇気」よ。
想いを伝える「勇気」と・・・・・・もし、フラれちゃっても頑張れる「勇気」。

漫画家

あなた・・・・・・充分「勇気」あるじゃない・・・・・・・あたしは無理だよ。

忘れないで・・・・・・・あなたは私よ。
あなたも持っている「勇気」は誰かが背中を押すだけなんだから。

漫画家

・・・・・・・・・・・・。

魔法使いさん・・・・・・お願い。

魔法少女

オッケー、任せて!

漫画家さん・・・・・・約束して欲しいの。

漫画家

何?

この話の続き・・・・あなたが「勇気」を使った後に描いて欲しいの。
私はあなた、なんだもの・・・・・どんな続きだって受け入れるから。

漫画家

うん・・・・分かった・・・・・・・約束する。

魔法少女

じゃあ、いくわよ!
リラメルララメルランルララン、リラメルララメルランルララン!!

  
 

キラキラした光に包まれる。
コンビニの自動ドアが開く音。

  
コンビニ王子

いらっしゃいませ・・・・・・・・あ、こんばんは。

漫画家

こんばんは・・・・・サンタさんの格好してるんですね。

コンビニ王子

今日・・・・・・・・クリスマスですから。

漫画家

あ・・・・・ですよね・・・・・・・サンタさん似合ってますよ。

コンビニ王子

え・・・・・・・ありがとうございます。

漫画家

えーっと・・・・・あの・・・・・・あの、私・・・・・・。

コンビニ王子

はい・・・・・・・。

漫画家

えーと・・・・・・えーと・・・・・私・・・・・・・・・あなたのことが・・・・・。

  
 

魔法少女の呪文が聞こえてくる。

  
魔法少女

リラメルララメルランルララン、リラメルララメルランルララン!!

  
 

どこからか、シャンシャンシャンと鈴の音色が聞こえてくる。
彼女たちの「勇気」の気持ちを祝福するように。

  
  
  
終わり。