ラヴィーナ&メゾン STORY FOR TWO クリスマススペシャル2013
“クリスマス マジック”
第1話(2013年12月23日 ON AIR)

「マジックタイム」

作・ナカタアカネ
キャスト
腹筋善之介
彼女 冨永 茜
子供 平野 舞
老人 嘉納みなこ(かのうとおっさん)
店長 嘉納みなこ(かのうとおっさん)
お先に失礼します・・・・今日は無理言ってすみません。
店長
おつかれさん・・・・・今日は、営業だっけ?
はい・・・・・遊園地でクリスマスイベントの前座なんです。
店長
頑張ってね・・・・・「笑い」とれるといいね。
(苦笑いしつつ)そんなお笑い芸人みたいな。
店長
えっ・・・・違ったの?
いちおう・・・マジシャンですから、俺。
店長
そうだっけ・・・・・頑張って。
はい・・・また来週宜しくお願いします。
バタンとドアを閉める音。車道を走り抜ける風が吹き付ける。
寒いなあ・・・車、欲しいなあ・・・・・金ないし、無理だけど・・・・よいしょっと。
バイクのエンジンを掛ける音。
彼女
あの・・・・すいません!!
え・・・・・・はい(振り返って)・・・・サンタガール・・・・・。
彼女
あの・・・・ちょっと、お時間いいですか!?
えっと・・・・いや、俺・・・・・金ないんで・・・・・お店とかいけないですから。
彼女
え?え・・・・?
あの・・・・・・キャッチかなんかでしょ・・・・サンタガールのカッコしてるし。
彼女
違います違います・・・・・お金はいいです・・・・というか、逆です!
あの・・・・お金、渡すんで・・・・・
遊園地までバイクで連れて行ってもらえませんか?
えっ。
彼女
急いでるんです・・・・・渋滞しててタクシーじゃ間に合わないし。
本当急いでるんです・・・・・。
ええっと・・・・・。
彼女
5000円で、お願いできませんか?
5000円!?・・・・・・うん、いいよ俺もちょうど行くとこだったし・・・・・
じゃあ、これメット。
彼女
ありがとうございます!
後・・・・・そのカッコじゃ寒いと思うし、これ着て。(ジャケットを脱ぐ)
彼女
わあ、ありがとうございます・・・・・じゃ、早く!
うん・・・・・しっかり捕まって。
走り去るバイクの音。やがて目的にたどり着く。
にぎやかで綺羅びやかなざわめき。
彼女
助かりました・・・・・じゃあ、これ約束のお金です。
(寒さで震えつつ)あ、ありがとう。
彼女
じゃあ!
賑やかな雑踏の中へ走り去っていく。
っていうか・・・・・・ジャケット返してもらってないんだけど・・・。
遊園地の時間を告げるベルとオルゴールメロディが流れてくる。
いい時間だな・・・・・準備しないと・・・・・寒っ。
ジャケットって・・・・・5000円以上、するよなあ・・・・あーあ。
オルゴールメロディが止むと少し離れた所で子供のざわめきが聞こえてくる。
やっぱり、俺みたいな下っ端だと・・・・・控室とかある訳ないよなあ。
うう・・・・ほんと寒いし・・・・・こんなんでマジック出来るかなあ、寒い。
指に息を吹きかけ手をこする。
子供
サンタさん、探してたんだよ!
え?
子供
あれ・・・・サンタさん・・・・若くなってる!?
僕の知ってるサンタさんじゃない!
ああ・・・・・この衣装のせいか。
子供
ねえ・・・・・本当のサンタさんどこ?
俺、サンタだよ・・・・・ほら、この通りサンタの格好してるだろ。
子供
ちがうよー、ヒゲがずれちゃってるよ。
わ・・・・・ホントだ。
ははは・・・・・ごめんごめん本当はサンタ見習いなんだ、俺。
子供
えー、ほんとにー?
ほんとほんと・・・・・ちょっとだけだけど、魔法も使えるんだぞ。
ほら、この魔法のステッキをひとふりすると・・・・・。
子供
わあー、お花が咲いた・・・・・すごいすごい!
そこまで喜んでもらえるなんて・・・・・思わなかったよ。
それより何処から入ってきたんだよ・・・・・・迷子?
子供
(泣きそうになりながら)うん・・・・・・サンタさん探してたら・・・・・迷っちゃって。
そっか・・・・・出番終わったら、一緒に迷子センター行ってやるからさ。
子供
でばん・・・・?
今から、そこの広場にいる良い子の皆に、魔法のプレゼントタイム。
待ってる間、観てる?
子供
うん・・・・・分かった!
じゃあ、いい子にして待ってんだぞ・・・・っていうか、泣きすぎて鼻が真っ赤かじゃないか。
子供
違うもん、元々だもん・・・・・じゃあ、楽しみにしてるね!
よーし、なんかやる気出てきたぞ・・・・・頑張るか。
クリスマスソングが流れきてやがて終わる。
(息を切らせながら)あー、何処にもいないなあ・・・・あの子。
それか、親と会えて・・・・・・・帰ったのかなあ。
ハックション・・・・・・寒っ。
彼女
あの・・・・・。
あ、サンタガール・・・・・。
彼女
ごめんなさい・・・・・私・・・・・ジャケット借りたまんまで。
慌ててたもんね・・・・・っていうか、俺がここにいるって分かったの?
彼女
さっき・・・・・ショーに出てたでしょ・・・・
そんな格好してるけど、ひょっとしたらそうかなって。
見られてたんだ・・・・・・なんか、まいったな。
彼女
すごいですね・・・・・マジシャンなんて!
いや・・・・そんな・・・・・。
彼女
すごいですよね、マジシャン!
たぶん、炎上する車のトランクから脱出とかも、出来るんですよね!
いやいや・・・・・そんなのはまだまだ!
新米だし・・・・おまけに全然食べれないから、普段はバイトやってんの・・・・・なんか、しょっぱい話でしょ。
彼女
そんなことないです・・・・・私なんかよりずっとすごいです。
え?
彼女
私も・・・・・実はショーに出てたんです。
そうなの?
彼女
ちょうど、あなたと入れ違いだったから。
私・・・・・遊園地のイメージガールやらせてもらってて。
すごいじゃない、いわゆるアイドルみたいな。
彼女
そんないいものじゃないです・・・元々、そういう仕事したくて田舎から出てきたんですけど・・・・・全然仕事もらえなくって。
普段は、絵のデッサンモデルとか・・・・展示会のバイトとか。
今回、初めての大きい仕事で・・・・緊張して寝れなくって・・・・
万が一の時にって間に合うように衣装着てたのがせめてもの救いで・・・。
ああ・・・・・・・・・・だから、そのカッコ。
彼女
そうなんです・・・・いきなりなことお願いしてすみませんでした。
どうだった・・・・イベント?
彼女
緊張しちゃって・・・・・全然上手く喋れませんでした・・・・。
そっか・・・・じゃあ、俺の左手を見て。
ほら・・・・何にも手には種も仕掛けもないの確認してみて。
彼女
はい・・・・・何にもないです。
うん、この左手をギュッと握ります・・・・・・そして。
パチンと指を鳴らす音。
この手を開くと・・・。
彼女
わあ、キャンディ!
はい、君にプレゼント・・・・・今度から緊張しそうになったら食べてよ。
彼女
・・・・・ありがとう。
パチパチパチと拍手の音。
子供
わーすごいすごい。
なんだ、探したんだぞ・・・・・何処行ってたんだよ。
って、おじいちゃんと一緒か・・・・・会えて良かったな。
老人
この子がお世話になったそうで、ありがとうございます。
いえ、そんな大したことしてませんから・・・・ははは。
老人
お礼をさせて頂きたいんですが・・・・・。
いや・・・・そんな、ほんと大丈夫です・・・・ハックション。
老人
丁度良かった・・・・どうぞ、これを。
ジャケット・・・・・・しかも、これ・・・・・俺が前から欲しかったやつ。
老人
それと、お嬢さん・・・・・これを。
彼女
えっと・・・・・これはポーチですか・・・・靴下型の。
老人
ただのポーチじゃないですぞ・・・・
そこに先程のキャンディを入れておくと食べた分だけ、増えていきます。
だから、どんなに緊張する場面でもきっと大丈夫。
彼女
わあ、ありがとうございます・・・・・では、早速いれてみます。
子供
ねー、もう一回魔法見たいなあ。
老人
こらこら、そろそろ戻らないと仕事が遅れてしまうだろ。
お前の真っ赤な鼻がないと暗くてかなわんよ。
子供
はあい・・・・・・じゃあ、またね。
あの・・・・・これ、本当にいいんですか?
老人
サンタのクリスマスプレゼントだと思って。
いや・・・・・俺、大人なんですけど。
老人
ワシにとっては、みんな子供ですよ・・・・・では、また来年。
目の前から老人と子供が消える。
消えた・・・・・・あれ?
彼女
今のマジックですよね!
え・・・・・・いや、俺・・・・・ほんと何もしてないって。
彼女
あれ・・・・・このポーチにいれたキャンディ、増えてる・・・・・。
あの、これって?
違う違う・・・・・俺じゃない・・・・っていうか、種も仕掛けもないよな?
ええっ・・・・どんな仕掛けなんだ・・・・・。
彼女
サンタさん・・・・・でしょうか。
だよなあ・・・・・それしか考えられないもん、わかんねえ。
2人、笑う。
じゃあ、サンタガールさん・・・・・帰りましょうか。
彼女
え?
送るよ・・・・・もちろん、運賃もいらないから。
彼女
でも、悪いですよ・・・・・・。
いいっていいって・・・・・今だけ、俺は君のトナカイになるよ。
種も仕掛けもない、マジック・・・・・・空は飛べないけど、今日はイブだから。
早くしないと25日になっちゃうから。
彼女
ありがとう・・・・・。
2人笑いあう。
終わり