KOBE MUSIC ATLAS

第20回目にご案内するお店は三宮にあるバー・CORAZON。 案内人は雑誌Meets Regionalの創刊に携わり12年に渡り編集長を務めた編集者の江弘毅さん。 案内人の江さんとCORAZONのご主人・小田さんは知り合って20年となる深い仲。 スペイ語で「心」という意味を持つ店名の「CORAZON」もお店を出すにあたって小田さんが江さんに相談して2人が好きなラテン音楽の歌詞によく出てくる言葉から名付けたそうです。
CORAZONではラテン音楽を中心にご主人の小田さんが選ぶいろんなジャンルの音楽が流れていますが、お店でかかっている音楽についてお話を伺ったところ、「時間帯や人数、話をしている内容によって曲調や店舗・ジャンルを変えていっている感じで、ラテン音楽を中心として、そのまわりに軽い肉づけをしていくみたいな感じにしているつもりです。まったくもってラテン音楽じゃないとダメっていう訳でもないので、基本的に「いいな」と思ったものは何でもかけたいなっていう感じですね。」とお話しをしてくださいました。

■いい音楽をみんなで共有しよう
CORAZONでは通常の営業の他にいろいろなイベントを行っているそうですが、店内でのDJイベントもたまに行うそうです。
案内人の江さんは一般的なDJイベントについて、「最近のDJの方は知らない曲をかける事が多いように思いますね。みんなで共有して踊るのがの目的なので、極端に知らない曲やレアものをかけて、記念切手の見せ合いをするようなスタンスはどうかなぁ。と思う」という意見をお持ちでしたが、CORAZONの店主小田さんも「情報が共有化されている時代なので、自己完結型の遊び方ではなく、「とにかくみんなで楽しみましょうよ。」っていう方がいいと思う。」とお話ししてくださいました。
DJイベントに限らずCORAZONではお二人が話すように「みんなで楽しい時間・いい音楽を共有しよう」というスタンスで素晴らしい時間を提供してくださると思います。

■神戸の音の楽しみ方
雑誌Meets Regionalの初代編集長で長きにわたり独自の視点で神戸を見てきた江さんに神戸の音楽の楽しみ方について伺ったところ、「何がいいとか何が悪いとかという話ではなく、聴き方を変えるというか身体で聴くことで、例えばミュージシャンが誰で、何年のテイクでという予めインプットされた情報ではなく、その場その時の街の音として楽しめるような街になればいいと思う。」との考えを話してくださいました。

CORAZONの店主・小田さんは「僕思うんですけど、神戸には結構上手に聴く方が多いと思うけど、（その反面）自ら一つのフィルタを通さないと入りにくくしている部分がどこかにあるように感じるんですね。
いいものは「これ誰なん？？」から入っていいと思う。
「これ○○だからイイやろ？」とか「俺しか知らんからイイやろ？」というのではなく、気持ちいい物をみんなで共有すればいいなと思っているです。
「いい音を出す店はいいスピーカーがあるからだ」なんてことはなくって、「何が鳴っているか？」とか、「ちょうどいいタイミングでその音楽を提供できているか？」が大事だと思う。
いい機材を置くだけだったら誰でもできる事で、F1の車を買ったからといってF1の車が運転できるかというとそうじゃないのと同じでいかにセッティングや状況に応じて対応できるかがお客さんやお店にとっても大事だと思う。」と話してくださいました。

人それぞれに音の楽しみ方はあるのかもしれませんが、神戸で音楽を楽しむなら余分な情報を持たず、いいものを共有してくれるスタンスを持っているお店を探すのも面白いかもれません。

最後に案内人の江さんにCORAZONについて改めて話を聞かせてもらったところ、「この店の面白さ・良さは割とアグレッシブに音量が出ているけど、しっかり会話もできる。そのへんの絶妙な音量と良好なサウンドシステムが神戸ではまれな店だと思います。
結構、初めて来るお客さんも多いんですけど、「お、エエ音なってますね。これ誰ですか？」みたいなところからどんどんネットワークが広がっているというか…。極めて神戸でも光っているお店だと思います。」
とお話ししてくださいました。