1209話(2019年6月1日 ON AIR)

「化学実験部の惚れ薬づくり」

作・福谷圭祐
出演・東千紗都
藤井颯太郎
中学校の理科室。
男、ドアを開け、外の様子を伺う。
うん、廊下には誰もいない。
それでは、化学実験部の極秘部活動を始める。
吉村先生に内緒で大丈夫かな。
今日の実験は部外秘である。吉村先生も例外ではない。
うん。
山田、ビーカーを。
これでいい?
うむ。そこにリンゴの皮を少々。
僕がむくよ。
できるのか?
うん、家でもたまに手伝うし、得意なんだ。
今日は山田が被験者でもあるのに、悪いな。
ううん。
男、リンゴの皮をむく。
慣れた手つきだ。
へへへ。
そしてカカオ、ハチミツ、イチジクを入れる。
なんだか、おいしそうだね。
ここまではな。
その、ピンク色の玉はなに?
ヒツジの睾丸だ。
えっ。いったいどこで。
叔父がトルコ料理屋を営んでいる。
もらったの?
拝借した。
盗んだんだね。
さらに麻の実、ラベンダー、イモリの黒焼き。
わあ。
そして赤ワイン。
お酒持ってきちゃったの?
部外秘だぞ。
さっちゃん、これはいったい、何になるの?
山田、リンゴの皮を。
あ、うん。
上出来だ。それを入れて、混ぜる。ガラス棒を。
はい。
ぬちゃぬちゃという音。
うわあ。
最後に、バニラエッセンスを少々。
塗り薬であれ。
飲み薬だ。
やはり。
山田。さあ、グイッといくがよい。
これは、なんの薬なの?
惚れ薬だ。
惚れ薬?
果たしてこの調合でうまくいったかどうか。さあ、グイッといくがよい。
・・・これさ、さっちゃんが飲みなよ。
なぜ?
僕が飲んでも、実験が成功したかわからないよ。だって僕、すでに。
山田、貴様。飲みたくないからって嘘をついているのではあるまいな。
違うよ! 僕、結構前から、さっちゃんのこと。
・・・そうだったのか。
うん。だから。
ならば、私が飲んでも意味はない。私だって、すでに。
なら、これはもう、片付けようね。
仕方がない。実験は失敗に終わった。
ああ、良かった。
器具や材料を片付ける。
しかし、山田。貴様からまだ、愛の言葉を聞いていないではないか。
え?
極秘部活動、継続だ。自白剤の調合を始める。タランチュラの粉末を少々。
大好きだよ、さっちゃん。大好き、大好き。
END