1214話(2019年7月6日 ON AIR)

「劇団うっかりコロンブスのオーディション会場」

作・嘉納みなこ
出演・大熊隆太郎
のたにかな子
そばがら
次のかたどうぞ。
初子
失礼します。
そばがら
えー、このたびは、劇団うっかりコロンブスの劇団員オーディションにお越しいただいてありがとうございます。わたくし座長のそばがら枕と申します。
初子
今出川初子と申します。よろしくお願いします。
そばがら
ではさっそくですが、この台本を元に演技をしてもらいます。(台本をわたす)これは僕が書いた、次回公演の冒頭なんですが。
初子
登場人物、久保君、小林さん・・・。
そばがら
小林さんをお願いします。久保君は僕が読みます。
初子
わかりました。
そばがら
(ト書きを読む)舞台は近大の生協前。雨が降っている。佇む二人。「雨、やな。」
初子
「雨、やね。」
そばがら
違う!!
初子
えっ?
そばがら
もっとささやく感じで。いいですか、雨が降ってるんですよ? 想像してください。
何月だ? 七月だ。
初子
「雨、やね。」
そばがら
オッケー!「傘、持ってる?」
初子
「持ってない。駅まで走ろっか。」
そばがら
「結構、降ってるで。」
初子
「大丈夫。」
そばがら
「でも、小林さんが濡れたら。」
初子
「いいよ。」
そばがら
「よくないよ。」
初子
「いいよ。」
そばがら
「よくないよ。」その時現れる、別の女、アヤ。アヤもお願いします。
僕は久保君に集中したいんで。
初子
「おーい、かなめー。」
そばがら
違う!!もっとショートカットの女の子の気持ちで! 小麦色の肌の気持ちで!
初子
ちょっとわかんないですけど。
そばがら
なんでわかんないんだよ!
初子
「おーい、かなめー。」
そばがら
やればできるじゃん。
初子
「早く勉強教えてやー。」
そばがら
「下の名前で呼ぶなや、つきあってるわけちゃうんやから。」次、小林さん!
初子
「あっ、お友達?」
そばがら
アヤ!
初子
「えっ、誰? 彼女? ウソ・・・。」
そばがら
涙をためて走り去るアヤ。走り去って!
初子
えっ?
そばがら
実際走って!
初子
ああ。(走り去る)
そばがら
「待てよ!」
初子
え?
そばがら
何してんの、早く行って!
初子
はい!(行く)
そばがら
「待てよ!」
初子
え?
そばがら
なんで待つんだよ!!
初子
待ってって。
そばがら
これはセリフでしょう!
初子
わかんない・・・。
そばがら
次、小林さん!!
初子
「今の、誰?」
そばがら
「幼馴染。」
初子
「追わんで、ええの?」
そばがら
「ええよ別に。」ここで小林さん、久保君にビンタ!
初子
え?(戸惑う)
そばがら
たたいて! 早くたたいて! 強く! 強くでいい!
初子
「バカ!」(たたく)
そばがら
(嬉しそうに)「小林、さん?」
初子
なんで嬉しそうなんですか。
そばがら
えっ?
初子
「なんでわからへんの? 彼女、久保君のことが好きなんやん!」
そばがら
そして走り去る小林さん!
初子
「バカ!」
そばがら
「雨が・・・やまないな・・・。」暗転。これで第一場終了です。いい台本でしたね。
初子
あの、この物語、この後どうなるんですか?
そばがら
第三、第四の女が出て来て皆僕を・・・久保君を好きになるんです。ラストシーンは僕と小林さんとの一分間にわたる感動的なキスシーンです。
初子
久保君をやるのは・・・
そばがら
僕の予定です。
初子
そうですか。
そばがら
なんですか、その吐しゃ物を見るような目は。
初子
いいえ。小林さんをやるのは?
そばがら
決まってません。この台本をやるとなって、急に女の劇団員がやめてしまいまして。
なんでだろう。あれ?今出川さん?いない!どこに行ったんだー!!
終わり。