1238話(2019年12月21日 ON AIR)

「しかないよる」

作・泉 宗良(うさぎの喘ギ)
出演・のたにかな子
藤井颯太郎
部屋。
頭痛が痛い
え?
頭痛が、痛い
え?
頭痛、が、痛い
日本語、間違っているよ
え?
頭痛は、する
頭が痛いと書いて頭痛じゃん、頭痛が痛いじゃさ、頭が痛いのが痛いじゃん
そうだね
だから、
それでも、今日は頭痛が痛い
なんか怒ってる?
ううん
ほんとに?
・・・こっちきて膝枕してほしい
いいよ
今日は起きたときから頭痛がしてね、それでも朝、朝、朝だから、出社したの
えらい
それで、光陰矢の如し、帰宅して、私は気がついた、頭痛が痛い
頭痛が痛い
うん
どういうこと?
頭痛がするんだけど、でもそれはどこか遠くのことで、
もう私のことじゃないような
うん
感じなきゃならないこと、空っぽになったような
ちょっと、分かるかも
だから、私、踊ったの
ここで?
そう、空っぽのこの部屋で、一人、踊った
そっか
消えるような気がしたの
頭痛が?
わからない、私かも
そういう話じゃないんだろうけど、そういう話じゃないのは分かってるんだけど、
君が消えたら寂しい
・・・ありがとう
何かお話して
昔、僕が頭が痛いって言ったとき、君は、生理痛の薬をくれた
あったね
大体、成分は同じだからって
うん
冷たいペットボトルの水で、それを飲んで思った、
君のことちょっとでも知れたら
うん
薬が、頭痛を押し込んで、輪郭だけが残ってた
それ、気持ちいい
うん?
頭、撫でられるの落ち着く
こう?
うん
ねえ、一緒に踊ろっか
うん
二人で
ドンキでミラーボール買ってこよう
そうだね
この空っぽの部屋で
二人で踊って、踊るしかない、しかない夜。
おわり