ラヴィーナ&メゾン STORY FOR TWO クリスマススペシャル2019
“夢の住む街”
第1話(2019年12月23日 ON AIR)

「ラララ・サイエンス・フィクション」

作・たみお(ユリイカ百貨店)
キャスト
洋(宇宙をさまよう兄) 藤井颯太郎
源(宇宙をさまよう弟) 岡本昌也(安住の地)
母(ララの母) 嘉納みなこ(かのうとおっさん)
ララ(歌手) 東千紗都(匿名劇壇)
ハル(ララの友人) イトウエリ
総裁(ララのおばあちゃん) イトウエリ
女子たち 番組オールスター
ゴーーーと宇宙空間の音が消こえる。
ドカーン……。
爆発したのか・・俺たちの住んでた星。
あの星屑が、ぼくたちの家だったなんて。
ほんとうに無くなったのか・・・
源と洋
10月21日朝5:00 計画通りに、惑星32(さんじゅうに)、無事爆破。
兄さん、僕たちこれからどうなるの。
また星を探すんだよ。俺たちの帰る家を。何度目だよ・・・。
ほんと、何度目なんだよ。
音楽
宇宙船の窓から、くだけちった星のかけらをみています。
僕らは今、無限の空間を漂っています。
歌い出し。
人の雑踏。
笑い声、生活音。
ララ! 見て!
ララ
なあに?母さん
ほら、火星の横! あんな星あった?
ララ
星じゃないよ、あれ。
じゃあなに?
ララ
惑星32の最後の瞬間。エンディングセレモニーだよ。
ほら、ニュースで出てたでしょ。役割を終えた星をああやって終わらせてるんだ。
あれが星の最後。初めてみたかも。
ララ
もうじき、12月24日、星の誕生祭。
またいくつかの星が、ホームから宇宙へと放たれる。
その星にもまた、町ができて、人が住む。
そしていつか、ああやって、最後を迎える。
不思議ねぇ。人の最後の瞬間には、なかなか立ち会えないけど、
星の最後の瞬間には、いま、夜空を見上げたみんなが、立ち会ってる。
ララ
ロマンチストだなあ。母さんは。
ふふふ。わあ、見て。スローモーションの花火みたい。きれいねえ。
ララ
うん。きれいだ。
音楽
ララ
僕らの家は、ホームから宇宙船をふたつ乗り継いだ先の、惑星57にあります。
惑星57は、57番目に作られた、とても小さな惑星です、
あの崇めく星々の一つ一つに転々と町があり、人が住んでる。
いま僕らは、宇宙全部を地図にして、
どこまでも、どこまでも、暮らしています。
朝の音。
女子たち
ララー!
ララ
おはよう!みんな。
ハル
ララ! ララ!
ねえ、アイドルやめるってほんと?嘘だよね。
12月24日の、星の誕生祭がラストステージって・・・
ララ
ほんとだよ。僕の敏腕マネージャー、母が設定してくれたんだ。
アイドルの最後にはロマンチックだろ。
ハル
ねえ! 考え直して。ララのコンサートだけが私の生きがいなの!
私だけじゃない、全宇宙のガールズの!
ララ
言ってくれるね。でも、もう決めたことなんだ。
ハル
ララ?!
ララ
そうだ、ハルもおいでよ。今年の誕生祭もホームでやるんだ。
きっとすごいよ。世界中からパフォーマーが集まって、盛大に祝うんだ。
なんてったって、今年は7つの惑星を打ち上げて、空に送り出すんだぜ。
きっとすごい景色が見れる。
ハル
ちょっと!ファンの気持ちを無視するき!
ララ
ははは。アイドルってさ疲れるんだよ。
いつもいつも笑顔で、振られた手を振り返さなきゃいけない。
もういやだ! はは。先行くよー。学校、学校!
ハル
ララ?!! もー…!
宇宙船が迫りくる音。ゴーーー
女子たち
…なにあれ。宇宙船・・・まっすぐこっちに、
ちょ。ちょちょちょっと、ララ!・・・あぶない!
ララ
え? あっ。あーー!
ゴーーーーー
宇宙船に吸い込まれた。
遠くから声が聞こえる。
ララさん、ララさん、ララさん…お腹減ってませんか…。
目覚めるララ。
ララ
はァッ。どこ?ここ!  
源と洋
宇宙船です。僕らの。
ララ
宇宙船?あんた誰!
あ、えー…「犯人」で間違いないよね、兄さん。
間違いない、俺たちは、犯人だ。
ララ
犯人?
ララさんですよね。
ララ
そうですけど…
ファンです! 握手してください!
ララ
はい…
握手した。4Dじゃないララさんと、握手したぞーー!あったかーい!
兄さん、なにやってんの、こんなときに!
申し遅れました。わたくし坂上洋(さかあがりよう)と申します!
えっ本名名乗るの?
本名名乗るよ! 礼儀だろ。相手はあのララさんだぞ。
ええ…。
洋って呼んでください。
ララ
よう・・
はい、ようです!! おとうとよ、おまえも名乗れ!さあ、名乗れ!
坂上源(さかあがりげん)です。
ララ
さかあがり…?
珍しい名前でしょう! 検索しても僕らしか出てきません。
兄さん! 僕ら誘拐犯なんだよ!
わかってるよ!
ララ
誘拐? ぼく、誘拐された?
そうなんです! すみません!
ララ
いま、何日…
12月23日です。
ララ
23日! 
誕生祭の前日です。
ララ
まずいよ。帰んなきゃ!
ララさん、ほんの少し俺たちに時間をください!
ララ
え?
大丈夫です。絶対、出演時間には間に合わせます!
ゴーと宇宙戦艦の軍団がくる音。
アナウンス
ララ奪還フォーメーションα
アナウンス
犯人発見次第撃破
アナウンス
ララ奪還フォーメーションα
アナウンス
犯人発見次第撃破
きたぞ!
ララ
すごい数の宇宙戦艦…! 
勢ぞろいだ
アナウンス
「坂上に告ぐ。坂上に告ぐ。ララを解放せよ。ララを解放せよ。」
名前呼ばれてる!
いったろ。隠したって無駄なんだ。かせ、マイク!
何いうの!兄さん!
安心しろ。俺は、本当のことしかいわん!
「えー。全宇宙の皆さま、初めまして、坂上と申します。
さきほど、ララさんは元気にお目覚めになりました。」
アナウンス
「ララを解放し、いまここで出頭しなさい…」
「ちょっと貸して!」
アナウンス
「あっ、ちょっ、あの。」
「どこのだれだか知らないけど!
本当にララは元気なの!今すぐ出しなさいララを!」
ララ
母さんの声だ! 
あの三角錐の、最新型ハイブリット宇宙船からですね!
ララ
マイク貸して!
あっ、ちょっ!
ララ
「母さん、ララです。元気だよ!」
「ララ! よかった。あんた帰りは何時になるの?
リハーサルあるんだけど!」
ララ
何時くらいに帰れるの!
マイクください。
ララ
あっ。
「全宇宙の皆様。この坂上が代わりに、
ララさんのお戻り時間をお伝えします。」
「あんたに聞いてない! ララを出しなさい。」
「こちらの条件をのんでください。そしたらすぐに。」
「条件?んなの聞くわけ」
「聞いてください。お母さん!」
「あんたを産んだ覚えはない!」
総裁
「はー。…代わりなさい。」
だれ、この声。
あれだよ。 あの真っ黒で一番ごつい宇宙戦艦からだ。
総裁
「リンです。」
洋と源
リン総裁!
銀河系の支配者じゃないか、そんな人がなんで!
ララ
リンばあちゃん! おーい!ばーちゃん!
ばあちゃん?え? 孫?
知らなかったのか、源。ララさんはただのアイドルじゃないんだ!
知ってたら反対してたよ! 総裁って…なんて人敵にまわすんだよ!兄さん!
一瞬静かになる。
総裁
「…坂上さん。大舞台を控えた孫を攫われて、いい気分はしないわね。
条件はなに。お金ならいくらでも用意するわ。
でも、この銀河系からあなたがたの自由は一切なくなるでしょう。
その覚悟はおあり。」
「ある!」
ララ
洋! あの人を敵に回したら、もう…
「金はいらない。星をくれ。永遠に、消えてなくならない星だ。」
総裁
「ははは。なんてロマンチック。」
「俺が生まれた星は、惑星8だ。
15の時に、資源が切れて爆破処分。次は惑星25。
設計ミスでたったの三年で水が枯渇。その次は、惑星32。」
ララ
母さんと見た星だ!
「家がほしい。故郷だよ。帰れる場所だ。変わらず、そこにある星だ。」
総裁
「そう、あなたがたは、宇宙難民ね。」
ララ
宇宙難民…なにあれ!
グワングワンと宇宙船の音。
ララ
宇宙船の軍団!
ぼくらと同じ宇宙難民だよ。
きっと聞きつけて集まってきたんだ。
ララ
すごい数だ…
いっぱいいるんだ。自分たちの星を失った人たち。
僕らは、家を失い、星々の間をさまよい続けてる。
「星を手にいれれば、ララさんはすぐ帰す。
傷ひとつつけず、お戻しする。俺たちに消えない星をくれ。
あんたなら簡単なはずだ。」
総裁
「いったい、人はなにをそんなに夢みてるの。」
ララ
え?
総裁
「消えてなくならない星。いつでも帰れる家。
永遠のアイドル。そんなもの、何一つないのに。」
ララ
ばあちゃん…
総裁
「誕生祭で放たれる惑星は、持って20年が限界。
私たちは神様にはなれなかった。坂上さん。」
「ここにいます。」
総裁
「自由を奪われる覚悟はある。そうね。」
「はい!」
総裁
「全宇宙戦艦乗組員に告ぐ。いますぐ、宇宙戦艦から、降りなさい。」
みんな
えっ。
母さん! 何する気!
総裁
「最新鋭の技術と科学が詰め込まれた、
宇宙戦艦を差し上げます。チームもつけましょう。
見つけて。永遠になくならない星。
もしも、夢を託される、覚悟がおありなら。」
「…ある!」
兄さん!
総裁
「ララ。」
ララ
「はい。」
「母さん、ララに何する気よ?」
総裁
「引退は許さないわ。」
「でもララは、普通の!」
総裁
「わたしも普通のおばあちゃんよ。
でも、こういう星のもとに生まれついた。逃げられない。」        
ララ
「ただのアイドルに、何ができる。」
総裁
「手を降り続けなさい。笑顔で。
永遠になくならない家が見つかるまで。
あなたにそれができるなら。」
音楽
兄さん、僕たち、これからどうなるの。
星を探すんだよ。なんども、なんどもな。
何度覚めても、見果てぬ夢だよ。
ずいぶん遠くまで来た僕たちへ、
電波にのって、星々の間から歌声が届きます。
心細くて、どこまでも孤独な、ぼくらをつなぐ、歌声です。