第2回受賞作品

全体講評

審査員 廣瀬 泰三氏
審査員廣瀬 泰三氏

ボク自身が公募のラジオCMコンテストおたくだったので・・・
「受賞した!?やったー!」
「なんでこれに負けたんや・・・」
「あんなにいっぱい出したのに・・・」
といった応募してくれる方の気持ちがすごくわかります。

そんな熱い気持ちを余すことなく受け止めるべく
3000本を超える応募作全てを見まして、審査しました。
ヘトヘトになりましたが、審査の帰りには元気になってました。
3000本分のラジオCMを愛する人の熱量を浴びたからです。

物を作るには熱量がいる。
その熱量に比例して良いものができる。

そんな当たり前な事を再認識しました。

改めて、受賞されたみなさん、おめでとうございます。
そして、惜しくも逃されたみなさんも
ぜひ来年もチャレンジしていただきたいです。

グランプリ

ポリテクセンター兵庫 様
「ゼロから」篇

とっとさん(大阪府)

(電話でのやりとり)
:
「はい、ポリテクセンター兵庫です。」
:
「知識や経験がなくても一(いち)から職業訓練が受けられる、って聞いたんですが。」
:
「一(いち)からではありません。」
:
「一(いち)からじゃないんですか。」
:
「ゼロからです。」
NA:
新たな一歩を、ポリテクセンター兵庫から。
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

「ゼロからです」というのは、ここに通おうとしている人を何より勇気付け、背中を押してくれるすごく良いコピーです。どんな人にどう届けばいいか?という点でこのCMを見たら、文句なしだと思います。

準グランプリ

ケンミン食品株式会社 様
「放課後」篇

矢部 あおいさん(東京都)

男子1:
ラーメン食ってこうぜ
男子2:
ごめん、帰るわ
男子1:
んだよ、つれねーなー
男子2:
俺、小麦 食べられないんだ……
男子1:
じゃあさ!うち来いよ
SE:
ラーメンを啜る音
男子1:
うまいか?うまいだろー。んだよ、泣くなよ
NA:
初めての体験を、あなたに。グルテンフリーラーメン。ケンミン食品。
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

ラーメンを美味しく食べてもらいたいというこの商品の思いがストレートに出てるのが良いと思いました。
最後のセリフも、食べた子が泣くんじゃなくて、友人が「んだよ、泣くなよ。」というセリフにしたことで、男子2の嬉しそうに食べる顔が浮かんできました。

スポンサー賞

キング醸造株式会社(日の出みりん) 様
「5時のチャイム」篇

年光 順さん(東京都)

SE:
5時のチャイム♪
:
ママ、外が暗くなってきた。もうすぐ日の出だね。
:
日の入り、でしょ?
:
ママが使ってる「みりん」のボトルに書いてるでしょ、「日の出」って。
だから、ご飯を作るときは「日の出の時間」なんだよ。
NA:
晩ごはんを、明るく照らす。
日の出みりん。
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

冒頭の子供のつかみが可愛いです。
そしてママが料理をしているところを子供はずっと見ていたというストーリーもキュッときますね。日の出みりんらしいCMです。

甲南防災株式会社 様
「使用期限」篇

脇川 一也さん(愛知県)

息子:
ママ。この消火器、使わないまま使用期限が過ぎちゃったね。
母親:
よかったわね。
息子:
えっ? もったいなくないの?
母親:
消火器はね、無駄になるのが、一番いいのよ。
NA:
防火の意識を高めよう。甲南防災
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

派手なCMではないですけど、「消火器に使用期限がある」という情報をもとにした奥ゆかしい会話がいいですね。
確かに消火器は無駄になるのがいい、と納得しました。

神戸阪急 様
「『の』を探しに」篇

中村 幸助さん(大阪府)

SE:
街の雑踏
女性1:
なあ、神戸阪急行かへん?
女性2:
神戸阪急やなくて、神戸“の”阪急やろ?
(「の」を強調して読む)
女性1:
「神戸の?」「の、ってなんなん?」
女性2:
神戸阪急にはな、たくさん「神戸の」が詰まっとうらしいよ、
まぁ行ったらわかるわ。
NA:
神戸阪急から神戸の阪急へ、
神戸阪急
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

「の」にすごい意味があるかのように思わせるCMで、多少強引ながら結局その謎がとけずに終わる感じが結果的に残るCMになってます。

神戸不動産リアルティ 様
「ウチ来ない?」篇

櫻井 瞭さん(東京都)

男性:
ねぇねぇ、ウチ来ない?
女性:
えー、私たち初対面だよ?
男性:
ウチ見るだけでいいから。
女性:
絶対そんなわけないじゃーん。
男性:
ホントだよ?家を見てほしい。
女性:
うっそだー。
男性:
ホントだってばー!
NA:
本当に自慢のマイホーム。
♪神戸不動産リアルティ
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

よくある男の誘い文句をうまく使い、商品コピーのところで裏切る手法が鮮やかです。
商品の出てくるところまで興味喚起度を上げて引っ張る技は素晴らしいです。

神港学園高等学校 様
「キラキラおとうちゃん」篇

平原 楓花さん(大阪府)

SE:
(テレビから男性アナウンサーの声)やりました‼︎金メダルです‼︎(歓声)
:
「お父さんなぁ。こんな風になりたかってん」
:
「ふーん。なんでやめたん?」
:
「なんでやろなぁ。でもあの時のおとーさん見たらカッコ良すぎてびっくりするで」
:
「またその話?」
NA:
何度でも話したくなる青春を。
神港学園高等学校
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

「こんな風になれなかったお父さん」を主役にしたのが素晴らしいと思います。
人には色んな幸せがあり、お父さんも金メダルはとれなかったが、幸せそう。
あらゆる幸せの道を見せてくれる学校には、みんな好感を持つと思います。

日本予防医薬 様
「息子の贈り物」篇

勝浦 千賀さん(神奈川県)

SE:
チャイム音
:
お母さん荷物ー!
:
なあに?
:
(手紙を読む口調)
母さんへ
最近疲れて寝てばかりと聞いたので、
いいドリンク贈ります。
:
イミダペプチド?
それより顔見せに来なさいよ。
SE:
ごくごく
:
ただいまー!母さん?
:
お母さん旅行中ー。
NA:
元気と笑顔の贈り物
日本予防医薬のイミダペプチド"
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

少々忙しいストーリーですが、話の内容は面白いです。
母が家にいないことで元気を感じさせるのも良いですね。

ひまわりガーデンモール 様
「品定め」篇

脇川 一也さん(愛知県)

女A:
「ひまわりガーデンモール」に行ってきたんだって?
女B:
オシャレなカフェがあるのよ。そこで、コーヒーを飲みながら、品定めしてたの。
女A:
展示車を見てたのね?
女B:
いい男を見てたのよ。
女A:
・・・
NA:
グルメと車が融合した新施設!
「ひまわりガーデンモール」
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

「いい男を見てたのよ。」のセリフが良いのですが、そのあとの「女A:・・・」の沈黙がいいですね。こういう風に沈黙をうまく使うラジオCMは面白いです。

FURUNO/古野電気株式会社 様
「技術」篇

伊良皆 拓さん(沖縄県)

NA:
そお遠くない未来のお話。
船員:
船長、魚群探知機に反応がありました。
船長:
うむ、まだ稚魚だな。
船員:
スルーですか?
船長:
当然だ。
NA:
人のための技術から、この星を守る技術へ
FURUNO
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

船長も船員もやり取りがかっこいいし、何より「人のための技術からこの星を守る技術へ。」の一行が良い。今の時代性にも合ってて、この会社に勤めている方もCM聞いたら「これうちの会社!」と言いたくなるんじゃないでしょうか。

Best Wishes Wedding 様
「オリジナルアイテムで結婚式」篇

牛建 善博さん(兵庫県)

(緊迫した無線のやりとり)
男A:
状況は?
女A:
二人はヘリでこちらに向かっています。
男A:
了解。ドローンと気球の準備は?
男B:
いつでも飛ばせます。
男A:
よし。花火とバルーンは?
女B:
こちらも準備OKです!
男A:
了解。おっ!二人が到着するぞ!
SE:
ヘリの音(一転して明るい口調)
男A:
皆さん、新郎新婦が到着しました!
歓声等:
ワァーッ!パチパチ・・・。
NA:
ゴルフ場を活かしたオリジナルアイテムで二人を祝福。ベストウィッシュウェディング。
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

商品そのものが面白いとラジオCMも面白くなる典型例です。
臨場感のある音と緊迫感のあるやりとりで架空の話かと思いきや最後に「結婚式の広告だ」とビックリするところがいいです。

ホテルニューアワジ 様
「充電」篇

千葉 正則さん(秋田県)

:
あ…充電が切れそうだ。
:
スマホ?
:
いや、
:
タブレット?
:
いや、
:
髭剃り?
:
いや、
:
じゃ、なによ?
:
自分。
NA:
自然いっぱいのリゾートホテルでのんびり癒やしの充電を。
♪ホテルニューアワジ
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

聞いている人をミスリードさせて、予想外のオチで面白くするラジオCMの教科書のような原稿です。熟練の技を感じます。

株式会社ユーハイム 様
「素通り」篇

岡田 英子さん(広島県)

:
「あれ、お母さん、このバウムクーヘンどうしたの?」
息子:
「ん?母さん、テーブルの上のバウムクーヘン、どうしたの?」
祖母:
「トモコさん、リビングにあるバウムクーヘン、どうしたんです?」
:
「おい、トモコ、冷蔵庫の横にあるバウムクーヘン、どうしたんだ?」
NA:
「素通りできないスイーツです、ユーハイムのバウムクーヘン」
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

笑いました。
一行ごとに誰かが移動させていると思うとさらに笑ってしまいます。原稿以上のストーリーを感じさせるのは、すごい技ですよね。
このバウムクーヘン、最後誰が食べたのか気になります。

和田興産株式会社 様
「駆け引き」篇

松本 俊彦さん(京都府)

:
「あなた、あまり気に入っていないように言うのよ。そうじゃないと足元見られるから」
:
「わかってるって」
不動産屋:
「では、こちらのマンションなんかはいかがでしょうか」
:
「はい、じゃあ、これで」
:
「ダメじゃん」
NA:
「住みたいを形に。ワコーレマンションシリーズの和田興産です」
作品を聞く
審査員 廣瀬 泰三さんコメント

人間くさくてかわいいと思いました。
あとラジオ聞いている人もそこまで集中して聞いているわけではないので、そこまで頭を使わせずにシンプルなのもすごく良いと思いました。